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楽譜   演奏会見聞録

17年12月19日

沢田研二

コロンでしょうか。杉のような森の香り、舞台からのようです。
背景は黒、ライトが何段も並んでいるのが見えます。ダウンライトの光跡が見える、ということは煙が漂っているということか。
スライド・ショーです。生まれてからの何枚もの写真が映し出されます。流れているのはオウティス・レディング「貴方を愛しすぎて」、胸が締め付けられるような歌声と伴奏です。
ミラー・ボールがきらきら。グリーンのヴェルヴェットにモールド刺繍、沢田研二の登場です。
あなたに今夜はワインをふりかけ心まで酔わせたい…。まわりは総立ちです。オウ・プリーズ…、「君だけに愛を」、タイガースです。最近はむかしの歌は歌わないと聞いていてので意外でした。「銀河のロマンス」だったり、「許されない愛」だったり、…だけどもしもここにあなたが…のところで金管楽器がダリラララと鳴ればいいなあとは思いましたが、ロック・バンドのサウンドでかえって歌が引き立つようにも思いました。ショーの最初ではいまひとつ十全でなかった声がだんだんと脂が乗ったように丸く豊かになります。「ヤマトより愛をこめて」だったり、Mon amour je viens du bout du monde「巴里にひとり」だったり、上着を脱いで「コバルトの季節の中で」、腕まくりをして「君をのせて」、「憎みきれないろくでなし」も、「時の過ぎゆくままに」も、「勝手にしやがれ」も。一曲歌うごとに「ありがとう、サンキュー、ありがとーね」、続けて歌ってこれで26曲だと数えたところで、これで24曲とコメントがありました。50周年なので50曲を歌う覚悟なんだとか。
黙るな景色に溶け込むな辞めるな時代に逆らうな…という歌は知りませんでした。「灰とダイヤモンド」という歌です。熱心なファンではなかったので知らない曲もずいぶん。阿久悠が作詞していたころの曲でさえ20年もたってからいい曲だと気付いたくらいですから。
40曲が終わりました。と次は「シーサイド・バウンド」。HOLD ME TIGHT…TIGHT, ai, ai…、「お前にチェックイン」でしたか。
49と数えたところで、スライド・ショーです。ワイルド・ワンズじゃありませんか。最近の活動のようです。
いくつかの場面があった まぶたを閉じれば いつも何かが歌うことを支え 歌うことが何かを支えた 野次と罵声の中で 司会者に呼びもどされたにがい想い出のある町 有頂天になって歌ったあの町 別れの夜に歌った淋しいあの歌…。50番目の曲は「いくつかの場面」、そういう題名のアルバムがあったのを思い出しました。1975年、昭和50年です。歌詞を調べていて河島英五の歌だと知りました。沢田さんは自分に重なるものを感じていたんですね。
ミラー・ボールが回っていました。天体の動きのようでした。

すごくいい席で、周りは最後まで立ちっぱなしでした。座っていた方が感じることが多いように思っていました。同じ空間にこの偉大な歌手がいて、ずっと立って見守る人もいる、熱いものを感じた二時間半。帰り道は雪が舞っていましたっけ。

沢田研二50周年記念ライヴ
2017年12月19日火曜日18時開演
福島県文化センター大ホール

沢田研二 歌
柴山和彦 ギター
依知川伸一 ベース
大山泰輝 キーボード
GRACE ドラムス