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楽譜   演奏会見聞録

08年6月29日

弘源寺木管五重奏団

弘源寺木管五重奏団とは1年ぶりの再会になります。去年の演奏会では、フランスの音楽、プーランク! を楽しんだので、今年チラシを見かけて、ビゼーの名にホッとしました。梅雨の日曜日、雨の午後、傘を手に出かけました。

モーツァルトの管楽セレナーデ変ホ長調は、堂々とした出だしの浮き浮きする曲です。「最初と最後の曲は入退場を兼ねて、行進できるような作風」がセレナーデの決まりだとパンフレットに教えられました。なるほど「アイネ・クライネ・ナハト・ミュージック」の第1楽章も行進曲ですね、そんな感じで演奏されることは少ないですが。
サーカスの入場かと思うまもなく、もの悲しい第2主題。旋律の中からモーツァルトの微笑みが・・・、この楽しさを演奏者と共感できたようで、うれしくなります。
メヌエット I は狩りのダンスのよう。中間部にまた悲しさが。
アダージョ、快活なホルンのメロディー、ファゴットとホルンが分散和音のような上下する音階や、ジャズのベースの動きのような小気味よい通奏低音を聴かせて、軽快。その陰で半音で下降する暗い旋律。
メヌエット II 上昇と下降の心地よい旋律、伸びやかな音と元気なリズム。
アレグレット、喜びの爆発。
モーツァルト25歳、生地ザルツブルクの宮廷を解雇され、ウィーンに定住することとなる年の作品です。ところどころに聴かれた悲しみは、青春の光と影?

マルコム・アーノルドは映画「戦場にかける橋」の音楽を担当したことで有名ですが、9曲の交響曲作品をもつ作曲家です。「3つの水夫の歌」は10分ほどだったかという短い作品ですが、タンゴのリズムのにぎやかなおしゃべりあり、おだやかな凪あり、どこかで聴いたメロディーありの陽気な曲でした。客席にも楽しさが伝わってきました。

後半はビゼー。「アルルの女」、劇音楽です。
アルルの闘牛場で見かけた美女に恋した豪農の息子が、許嫁との結婚式の夜、牧童頭がアルルの女との駆け落ちすることを知り、機織り小屋から身を投げるという話です。同じ作曲家の「カルメン」も美女・許嫁・恋敵と登場人物が似通っています。ラテンの恋の深い闇とでもいうのか、熱情というか、好きになってしまったら命がけ、人ごとではありませんが。
第2組曲の「メヌエット」が有名ですが、今回はなじみの薄い第1組曲です。
ビゼーらしい明るい大きな音、メンバーの練習のほどがわかります。テンポの緩急も自由で、オーケストラに遜色のない迫力です。熱演でした。ホルンの活躍もうれしかったです。

アンコールは
ビゼー 「カルメン」より アラゴネーズ
ホルンはお休みでタンバリンを叩いていました。
バッハ カンタータ208番より「羊は安らかに草を食み」
NHK-FM「あさのバロック」の主題曲でした。
ヨハン・シュトラウス2世 エジプト行進曲
ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのように、演奏者の雄叫び付きでした。


弘源寺木管五重奏団第11回室内楽演奏会
2008年6月29日日曜日14時開演
福島テルサFTホール

弘源寺木管五重奏団
フルート:宮崎真
オーボエ:早水楼蘭
ホルン:湯田公夫
ファゴット:高木昭道
クラリネット:添田麻紀子

モーツァルト:セレナーデ第11番 変ホ長調
アーノルド:3つの水夫の歌
ビゼー:劇音楽「アルルの女」第1組曲