今宵一夜
今宵一夜
君が来るなんて
はなれずにいてくれ ひっそりと
出がらしのコーヒーを温めて
話していたい たっぷりと
思い出を次から次へと
ほんとにぴったりの夜
今宵一夜
今宵一夜
一緒に過ごせる
はなれずにいてくれ お嬢さん
外になんか出たら迷うぞ
背中に指をすべらせてくれ
無上の喜びをちょっとだけ
ぴったりの気分
今宵一夜
今宵一夜
眠れそうもない
外は冷え込み
雪は積もった
火をおこせ 薪をたやすな
シューシューシューとおしゃべりさせて
燃えろ燃えろどんどん燃えろ
今宵一夜
僕のそばでふっくらと
話の相手でいてほしい
部屋は広いでしょうとか
肘でおしのけるのはごめんだよ
風はいくらでも吹くがいい
小屋の古びた戸の外で
たしかあったよねこんなこと
窓ガラスが霜で凍っていく
やわらかい口づけのたびごとに
ぴったりの気分
今宵一夜
過ぎていく 過ぎていく 過ぎたんだ
着いたばかりのこの町で
柳はたわまず立っている
どう言えばわかるだろう
終わりの始まり
過ぎていく
過ぎていく
過ぎたんだ もう
本は終わりだ
このページこの行で
もうかまわない
続きがどうなろうと
過ぎていく
過ぎていく
過ぎたんだ もう
糸にすがり付くように
何にでも真心を尽くしていた
もうそんなのは卒業だ
すべてに潮時がある
そうさ過ぎていく
過ぎていく
過ぎたんだ もう
ばあちゃんの教え 自分に忠実に生きる
それで望みが叶えられる
黄金は輝くからありがたいのかい
この人と決めたら別れないことだ
たどってきた道
むちゃくちゃな道
年貢の収めどき
進めば暗礁
だから過ぎていく
過ぎていく
過ぎたんだ もう
無敵の母さん
無敵の母さん
あふれて揺れる胸
川辺のきれいな石を拾ってあげる
姉さんは線路工夫たちと旅の空
父さんは刑務所で引退生活
不屈の母さん
褒め言葉をならべるから
褐色の美女
脇にいて少し話をさせてくれ
花咲く野原に連れて行くのが私の役目
暖炉の灰 積もる埃
はるばるやってきたのか 天空を旅して
褐色の美女
夜の長旅が瞳の底に映っている
香しの女神
まばゆい光と時の風に生を受け
遠慮はなさるな 出自はご存じのはず
牛飼いジャックは北へ向かったが
あなたには過去の人
一匹狼は酒場に出かけた
すぐ帰るだろう
多少なりともご存じの人ばかり
銀の天使
肩につけるのはだれも通らぬ道のバッジ
黄金の指輪をお納めください
この街の体温以上の今日の暑さ
何もできず丘の上でただ見守るだけ
香しの女神
もうひとつ目印を刻むときです
私はうつむく
ドアの外は幻の世界
市場に引いていく子羊ももういない
監獄の壁は崩れ遮るものはなく
許可はいただいたが意欲はもうない
褐色の美女
今夜私とこの街を出ようか
ヘイゼル
ヘイゼル くすんだブロンドの髪
ためらわずにどこへでもきみと行く
ほしいんだ 君のなかにある
愛の恵み
ヘイゼル 瞳のなかの星くず
君が向かうところにぼくも行く
君に広がる空をあげるから
ほしいんだ 愛の恵み
誰に教えてもらったのでもなく
気持ちが深くなっていった
どんどん見えなくなっていく
こんなに高く登ったのに君はまだ来ない
ヘイゼル 君が呼んだから来たんだ
隠れたままの鬼ごっこはいやだ
ほしいんだ 君のなかにある
愛の恵み
君の何かが
君の何かが心に灯をともす
身のこなし なびく髪
それとも昔を思い出させるから
はるばるやってきたのか 違う世紀から
青春の不安や錯覚は捨てたはずだった
五大湖の港町ダルースの丘を歩く雨の日々
私とダニー・ロペス 冷めた目 闇夜 そしてルースがいた
君の何かが呼び起こす 忘れていたほんとうのこと
不意の出会いに 魂が騒いだ
何もいらない 君だけが世界
頼っていいと 口に出すのはやさしくても
君にはつらいことだし 死んでも言えないことだった
君の何かが 際だつ気高さが胸を揺する
感情の嵐の中にいた いまは落ち着いたけれど
戦うときは君も一緒
君の何かにもうすぐ手が届く
いつまでも若く
神が慈しみ力をお与えくださいますように
祈りが全てかないますように
行いが全てまわりの役に立ちますように
そして周りがあなたの助けになりますように
星々にかかるはしごを造って
一段一段踏み上がることができますように
いつまでも若いままでありますように
いつまでも若く いつまでも若く
いつまでも若いままでありますように
有徳の人でありますように
誠実の人でありますように
真理の人でありますように
そして光明に囲まれますように
度胸はいつでも据わって
力に満ちた立ち姿で
いつまでも若いままでありますように
いつまでも若く いつまでも若く
いつまでも若いままでありますように
いつでも両手がふさがっていますように
いつも素早く足が運びますように
しっかりした土台の上で
変わる風向きにも揺るぎませんように
心は楽しさにあふれていますように
歌を絶やさずいられますように
いつまでも若いままでありますように
いつまでも若く いつまでも若く
いつまでも若いままでありますように
葬りの歌
恋なんかして 弱さをさらけ出して 自分が嫌いだ
塗り込めた顔で 自殺への道を駈け下りたあの人
舞台はおきまりの 灯りが消えた古いホテル
恋なんかした自分が嫌いだ 幕が下りてほっとする
子供じみた遊びなんかして ほしがってばかり 自分が嫌いだ
お恵みをもらおうとして 誰がくれる
ロウワーブロードウェイへ行けばすぐ分かる
街の谷間で苦悩に涙を流す人々のそば 天使は罪深い遊びをしている
自由の歌が流れるなか裸の男が
むち打たれながら道化を演じる
つながれた奴隷のように動けなくなるまで叩かれ
ひとときの栄華とひきかえの泥まみれの惨めな恥
孤独を愛するひとたちの中に私はいない
ガラス細工の時代に宝石を求めている
壁の水晶玉は何も教えてくれない
一人暮らしのつけは払った もう借りはない
ためになることなんか何もなかった
ひざまずかせて背中に手を当てただけ
目をのぞき合っていたんだ 耐えられなくなるほど
詫びはいらない 何の役にも立たないことだ
技術の進歩と最終兵器を称えて歌えばいい
かざりのない真実を口に出せる日は来ない
幸運の陽が当たったら居場所は分かる
恋なんかした自分が嫌いだ でも嘆きはいつか終わる
なんじ天使なり
なんじ天使なり
翼もて覆い給うた
歩む様 語る様
われ歌わんばかり
なんじ天使なり
美しさ世の何よりも勝る
歩む様 語る様
わが心に戯れるばかり
知るやわれ床につくあたわず
かつてわが身になきこと
宵に床より出で庵を彷徨い
これ愛なればわれに繁く与えよ
繁く繁く繁くまた繁く
なんじ天使なり
卓抜なることありうべからざるほど
微笑みの様 みどりごのごとし
われに降り注がんばかり
知るやわれ床につくあたわず
かつてわが身になきこと
床より出で庵を彷徨いしことかつてなし
これ愛なればわれに繁く与えよ
繁く繁く繁くまた繁く
なんじ天使なり
翼もて覆い給うた
歩む様 語る様
万物を物語る
さよならは聞かない
湖が凍る夕暮れ
北風に消えていく
雪に刻んだ足跡
忍び込む静寂
美しすぎてなんと言えばいい
君の姿
泣きたくなるから
さよならは聞かない
いつまでも待っているから
いつ考えてくれてもいい
ふたりで暮らしていくこと
さよならは聞かない
夢に見る 鋼鉄製の
大きな飾り花
薔薇がこぼれ落ちる
大地へと空の上から
波が砕けうち寄せる
砂浜に立ち
待っている 君を
君の手に包まれるのを
恋人 恋人 嘆きの恋人
これが君の新しい名前
茶色に変えた髪を
静かに下げているのが好きだ
婚礼の歌
こんなに愛しいなんて 時間より愛よりも深い愛
財産よりも空の星よりも
恋する人よりも逆巻く波よりも
人生よりも 君はもっと大きい
君の登場で円環は閉じ
幽霊は消え路地の仲間とも縁を切った
陽から隠れる裏庭の道化たちとも
こんなに愛しいなんて でももっと愛したい
息をかけられ 生きる希望に目覚めた
貧しさにあってなおほどこす意味を教え
涙を乾かしどん底から舞い上がらせ
喉を潤し魂に炎を燃え上がらせた
一、二、三人もの子供に 私は救われた
にらみあうとき責めあうとき切り裂く愛のナイフ
君への思いは気持ちはざわめかせ 休むこともできない
世界を君にあげるからこの感情を押さえつけてくれ
世界に向けたこの曲は君と僕のもの
最高にうまく歌う この歌に誇りを持って
落としたものは戻らない 洪水にのまれたから
君に満足 熱い血よりも愛しい
世界を広げるなんて柄じゃない
戦闘命令を出すつもりもない
そんなものすべてより君が愛しい この愛はまっすぐ
よみがえるなんてことがあるならその時もう一度君を欲しい
君は一緒に暮らす運命に生まれた
同じ運命の僕の花嫁になるために
僕という存在の2分の1 行方不明だった僕のかけら
こんなに愛しいなんて 尽きることのない愛
潮となって僕を流れに乗せ遠くを望ませる
昔からずっとそばにいるようだ
離さない どんなにまわりが変わっても
こんなに愛しいなんて 過ぎたことはもう知らない