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ラジオマイク   ボブ・ディラン

雨降りの日に女が 第12章と第35章

石をぶつけられるのは 行儀を良くしているやつ
石をぶつけられるのは 警告通りだ
石をぶつけられるのは 家に帰ろうとするやつ
石をぶつけられるのは ひとり離れているやつ
俺だけだなんて気はしない
石でいっちまうのはみんないっしょだ

石をぶつけられるのは 通りを歩いているやつ
石をぶつけられるのは 席から立たないやつ
石をぶつけられるのは 会議室を歩くやつ
石をぶつけられるのは 部屋を出ようとするやつ
俺だけだなんて気はしない
石でいっちまうのはみんないっしょだ

石をぶつけられるのは 朝食の席にいるやつ
石をぶつけられるのは 若くて有能なやつ
石をぶつけられるのは 金儲けしようとするやつ
石をぶつけられて 幸運を祈ってもらえる
俺だけだなんて気はしない
石でいっちまうのはみんないっしょだ

石をぶつけられて 一巻の終わりだと言われる
石をぶつけられて またあとでぶつけられる
石をぶつけられるのは 車に乗っているやつ
石をぶつけられるのは ギターを弾いているやつ
俺だけだなんて気はしない
石でいっちまうのはみんないっしょだ

石をぶつけられるのは ひとりで歩いているやつ
石をぶつけられるのは 家に向かうやつ
石をぶつけられて 勇敢だとか言われる
石をぶつけられるのは 墓に埋葬されるやつ
俺だけだなんて気はしない
石でいっちまうのはみんないっしょだ

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運勢を預ける

朝は早くから
夜は遅くまで
頭痛がひどいが
俺は大丈夫
俺の運勢をあんたに預ける
期待しているぜ

浮浪者が跳び上がる
そのあとは当然落ちてくる
俺の彼女を盗んだあとで
今度は俺を盗みに来る
俺の運勢をあんたに預ける
期待しているぜ

一緒に来いよ 彼女
望みのところに連れて行くぜ
失敗しても
誰もしたことがないからしょうがない
俺の運勢をあんたに預ける
期待しているぜ

部屋の風通しの悪いこと
息をするのもやっとだ
みんな出て行って残った俺たち
お先に失礼させてもらうぜ
俺の運勢をあんたに預ける
期待しているぜ

救急車を呼んだ
1台はもう出動した
運の良いやつもいるが
起きるときは起きる それだけだ
俺の運勢をあんたに預ける
期待しているぜ

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ジョアンナの幻

そんなに静かにしているだなんて 今夜何かたくらんでいるわけじゃないよね
言葉に詰まって座ってはいるが 何とかする方法を考えているんだよね
ルイーズは手にためた雨水を 受け渡そうと誘いをかける
向かいの屋根裏から灯りがゆらゆら動き
この部屋ではスチーム管が咳をする
穏やかなカントリーばかり流すラジオ局
でも気に障るようなものはない 何もない
ルイーズとその恋人が離れずにいるだけ
現れては心をとらえていくジョアンナの幻

空き地でめくら鬼で鍵束をやりとりして遊ぶご婦人たち
夜の女たちがD列車の乱痴気騒ぎの噂をひとしきり
夜警がライトのスイッチをかちっと鳴らして
狂っているのが相手か自分かと自分に問いかける
ルイーズは大丈夫 そこにいる
気むずかしくて鏡と同じだ
でもなんでも簡単に わかりやすく考えるから
ジョアンナは見えないみたいだ
電気の化け物が女のほお骨の内側でうめく
私の心から離れないジョアンナの幻

迷子になることは男の子にとって重大事件
自分の不幸に得意になって 向こう見ずになる
彼女を話題にしたいらしく
別れた彼女さと教えてくれる
役にも立たないことをよくよく図々しく
世間話を部屋の隅でくだくだと
何を言わせたいのか知らないが
おつき合いはごめんだよ
夜明けまで眠らせてくれないジョアンナの幻

博物館は 無限の時間が裁かれるところ
声が響く 一昔前人はこうして救済されたのだと
でもモナ・リザもつらい旅をしたのは
表情がもの語っている
ニオイアラセイトウの黄色い花が凍って
冷たい頬の女たちがくしゃみをしている
口ひげの男が口にする やれやれ
膝が言うことを聞かんのだよ
ラバの頭から宝石袋と双眼鏡が下がっている
景色をむごいものに見せているのはジョアンナの幻

行商人と話す伯爵夫人 なぜか親しげに
二心のない人を教えてください 成功をお祈りしてあげたいの
ルイーズのいつもの口癖は
どうせ見られる顔じゃないわよね
いつでも覚悟ができているわけだ
マドンナはまだ顔を見せない
錆び始めた空の鳥かご
ステージ衣装を掛けていたこともある
バイオリンひきが旅立った
一切合切の片付け先を書き残して
魚運搬のトラックの荷台に載っていった
私の善悪の観念は引き裂かれ
調子はずれのハーモニカを鳴らせば雨の中で
じっと残っているジョアンナの幻

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(いずれそのうち)はっきりすること

そんなつもりはまるでなかった
自分のことだと考えていたんだね
悲しませるだなんて思いもしなかった
居合わせた ただそれだけなのに
連れにさよならを言った君が微笑んだのを見て
僕がひとり合点しただけなんだ
君がすぐ戻るつもりだろうと
これっきりの挨拶をしてるだなんて思わなかった

いずれそのうちはっきりする
君は当たり前のことをしたんだし
いずれそのうちはっきりする
君を知りたくて本気だったってこと

君が知らせたいことに気づかなかった
スカーフで口元を隠していたから
僕をどう見ているのかも分からなかった
理解してくれているという言葉をそのまま信じた
耳元で優しく言ってくれたから
僕に聞いたよね 私と彼女のどちらを選ぶ気かと
何を聞かれているのか分からなかったんだ
君の率直さに思いが及ばなかったんだ

いずれそのうちはっきりする
君は当たり前のことをしたんだし
いずれそのうちはっきりする
君を知りたくて本気だったってこと

雪が降り出したのに上の空だった
君の声だけが耳に響いていた
二人の行く先は僕には思いつかなかった
分かるわという君について行った
後に僕が詫びると 君の口から
あなたをだました 私は農家の娘じゃない と
僕の眼をひっかこうとする君に言ったよね
君に危害を加えたりは僕はしないよ

いずれそのうちはっきりする
君は当たり前のことをしたんだし
いずれそのうちはっきりする
君を知りたくて本気だったってこと

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君が欲しい

葬儀屋がため息をつくのは身に覚えがあるからだ
オルガン弾きが大声を出すのは孤独だからだ
お前なんかお断りだと銀色のサクソフォン
われ鐘と気の抜けたホルンが
俺の顔に息をかけて馬鹿にする
そいつは見当違いさ
君と結ばれるさだめなんだから
君が欲しい 君が欲しい
こんなにも君が欲しい
ハニー 君が欲しいんだ

上を飛び越えていく酔っぱらった政治家
路地で母親たちが涙を流し
救世主はぐっすり眠っている
みんなが待っているのは君だ
俺は待っているのさ
壊れたカップの酒を飲みながら
合図を待って
ドアを開け君を迎える
君が欲しい 君が欲しい
こんなにも君が欲しい
ハニー 君が欲しいんだ

うちの先祖にはいまだかつて
本当の恋に落ちた男が一人もいない
なのにうちの女どもが俺をやりこめる
俺もその手の男だと思うらしい

だからスペードの女王のところに戻って
小間使いとおしゃべりしよう
分かってくれている 俺が
見つめていたいこと
俺にはとっても優しくて
どんなことでも気がついてくれる
俺がどこに行きたいか分かっていても
全然問題にしない
君が欲しい 君が欲しい
こんなにも君が欲しい
ハニー 君が欲しいんだ

中国服で踊っている君んちの男の子が
俺がその子の笛をとったって言うんだ
いい顔はできなかった
そうでもなかったかい
でも俺やっちゃった その子が嘘をついたから
君と出かけたいとか言って
形勢はその子が有利だし
ほかにも俺も・・・・
君が欲しい 君が欲しい
こんなにも君が欲しい
ハニー 君が欲しいんだ

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足止めされたモビールの町でまたまたメンフィスブルースを口ずさむ

屑拾いがいくつも円を書いている
路地のそこここで
なぜだか聞こうとも思ったけれど
話してはもらえなそうだ
ご婦人方がお優しく
テープをで飾り付けてくれる
どうもこれはよく考えれば
逃げ出せない状況だ
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

さてシェークスピアが裏通りに
らっぱズボンにバレエシューズでご登場
どちらのフランス娘かと話をしている
娘さん俺のことをよくご存じだとか
手紙でも書いてみようか
その話は本当のことですか
でも郵便局は引っ越して
ポストはふたがされている
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

モナの言いたいことは
俺に線路から離れていろとさ
鉄道員といえばどいつも
ワイン代わりに人の血を飲むんだそうだ
俺の返事は それは初耳だ
俺はひとりしか知らないが
煙草の煙をまぶたに吹きかけてきて
俺の煙草をたたき落としたんだ
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

祖父が先週亡くなった
今はもう土の下
会う人みんな口を開けば
痛手の大きさの話で持ちきり
俺は別に 突然のことじゃなかったし
もうおかしくなっていたんだ
大通りでたき火して
あれこれ文句を言っていたんだから
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

さて上院議員のご登場
銃の自慢をしながら
配っている無料の入場券は
息子の結婚式の参加者用
危なく捕まるところだった
どういう運命のいたずらか
入場券がないからと追い回され
トラックの陰に隠れて見つかるだなんて
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

牧師は混乱しているみたいだ
俺は訊ねてみた
20ポンドの重さのロープを
胸にくくりつけてどうする気だい
俺が言うと牧師は悪態を吐いた
小さな声で俺が みんな気がついているんだ
わかるだろ 俺と同類だってこと
これで納得できるよね
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

雨乞い師がくれた二つの薬
すぐ飲めって言われた
片方はテキサス製の飲み薬
もう片方はジンのポケット瓶
めちゃくちゃに混ぜ合わせたら
頭がおかしくなりそうだった
今じゃまわりから変な目で見られ
夜と昼の区別もつかない
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

ルースが逢いに来いと言う
ほんきーとんくが流れる入江
彼女のワルツがただで拝める
パナマの月の光の下で
俺が言う 教えてくれ
俺のデビューはいつだと思う
すると彼女 したいときにどうぞ
あんたの下心は読めてるわ
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

グランド街の煉瓦積みに
金ぴかの気違いたちが登っていく
全員みごとに落っこちる
間合いを計ったみたいに
俺はしゃがんでじっと考えている
どれだけの金額を用意すれば
こんなことを繰り返させずに済むんだろう
ママ これでもまだ終わりじゃないのかな
足止めされたモビールの町で
またまたメンフィスブルースを口ずさむ

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豹革のピルボックスハット

買ったばかりの豹革のピルボックスハット
買ったばかりの豹革のピルボックスハット
教えてほしいんだ
かぶった感じはどんな気分
頭に載せた買ったばかりの豹革のピルボックスハットは

頭に乗せると可愛い感じだよ
こいつめ ひったくっちゃおうかな
手に取ってみてみたい
高級品だもんな
ちょうど似合いの形だよ
マットレスを上に載せた
ワインボトルというところだな

朝日が昇るのを見たいだろ
えへへ いいところを知ってるよ
行こうよ 今度
ふたり並んで座って眺めるのは
ベルトをはずして
ぐるぐる巻きした俺の額
ただ座っていればいいんだから
君の買ったばかりの豹革のピルボックスハットで

医者に聞いたんだ 君に会ってもいいかって
健康のためには良くありませんな だそうだ
そんな話を聞くつもりはないよ
だから出かけていったのに
君の代わりにやつがいた
あいつにだまされるのはかまわないが
許せないのはあいつがかぶっていた帽子
君の買ったばかりの豹革のピルボックスハットさ

見かけたよ 今度のボーイフレンド
新顔だよね
見ちゃった あいつ
君に言い寄ってた
車庫の戸は閉めとかなきゃ
金めあてかも知れないって思うだろう
俺にはわかる あいつのほんとのねらいは
君の買ったばかりの豹革のピルボックスハットだ

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女だからこそ

誰も心を痛めない
夜の雨に私が打たれていても
誰でも知っている
ベイビが新しい服を買った
このあいだ見かけたら リボンとタイは
もう巻き毛を飾ってはいない
女だからこそ気に入られる それはその通り
女だからこそ恋をする それはその通り
女の身だから心は痛み
若い身だから思いは辛い

メアリ女王は私の味方
またいつか会える日が来る
知る人はいないが
ベイビが幸せになれる日 それは
自分が人並みだと気がついたとき
途方に暮れアンフェタミンと真珠を手にして
女だからこそ気に入られる それはその通り
女だからこそ恋をする それはその通り
女の身だから心は痛み
若い身だから思いは辛い

最初の日が雨降りの日
乾きで死ぬかもしれず
やって来た私を
積もった恨みから責めるあなた
これ以上の辛さはどこにもない
ここでの苦痛
とどまることはできなかった
はっきりしていたことは・・

ふさわしい場所ではなかったということ
去るべき時を察していた
どこかで再びめぐりあい
仲間だと引き合わされても
言わないでくれ かつて顔見知りで
私が貧しく あなたの世話を受けたとは
女だからこそ牽制をする それはその通り
女だからこそ恋をする それはその通り
女の身だから心は痛み
若い身だから思いは辛い

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君は君の道 俺は俺の道を どうやらそういうことだ

俺を好きだと
いつも考えていると
でも 勘違いかもしれないとも
俺に話したと
抱きしめたいのと
でも 君がそんなに強いわけはないとも
前にしたことがないことは俺はできないし
君にこれ以上頼めない
君には言わず
俺が最後までやるだけだ
時が教えてくれる 敗者の名と
後に残された者の名
君は君の道 俺は俺の道を進むだけだ

迷惑をかけたと
自分はとるに足らないと
でも 嘘もあったと
震えていたと
心を疼かせていたと
でも あんなに頑張っていたとも
向き合うのが嫌になることもあるし
世の中そんなことばかりだ
君には言わず
俺が最後までやるだけだ
時が教えてくれる 敗者の名と
後に残された者の名
君は君の道 俺は俺の道を進むだけだ

判事が腹いせに
君を召喚する
小柄な奴で
かかとの高い靴を履いている
転んで落ちてきたら危ないぜ

許してくれと
作り話をしたと
真に受けるような話だったと
つきあっていると
恋人のような人だと
その通り信じたよ
キスの仕方が違うんだと
今は黙っていよう 違いのわけは
君には言わず
俺が最後までやるだけだ
時が教えてくれる 敗者の名と
後に残された者の名
君は君の道 俺は俺の道を進むだけだ

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今はアキレスのように

君の部屋の窓に腰を下ろして
前にもこんなことがあった
行儀良く
奥のドアを眺めている
声もかけてくれないだなんて
優しさがほしいのを知っていて
ハニー つらくあたるのはなぜだい

床にひざまずいて
ここにしばらくいさせてもらうよ
君の絵から表情を読もうとしても
一人では何もできない 富豪の御曹司のようだ
来るなと伝言を頼むだなんてどういうつもり
優しさがほしいのを知っていて
ハニー つらくあたるのはなぜだい

調子づいた哀れな馬鹿さ
足音で気がついていたはずだ
君の心は石かい それとも石灰
岩の壁かも

君の家へ飛び込んで
部屋のベルベットのドアに貼り付くぞ
注意するのは君が飼ってるサソリ
にぎやかな床をはい回ってる
護衛がいるだなんてどういうつもり
優しさがほしいのを知っていて
ハニー つらくあたるのはなぜだい

アキレスがそばの横町にいる
俺を追い払うんだと
得意げだ
空を指さしているが
がつがつして女装趣味の奴みたいだ
あんな奴に警備をさせるなんてどういうつもり
優しさがほしいのを知っていて
ハニー つらくあたるのはなぜだい

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非の打ち所なく優しい気立てのマリー

遮断機があって飛び越えられないでいる
たいへんなときがあるんだよ
ここに座ってトランペットを打ちのめしている
君が残した宿題があんまり多くて
なのに今夜どこにいるの 優しい気立てのマリー

待っていた 半病人になって
待っていた 嫌われたまま
待っていた ひどい渋滞のなか
君も分かるはずの所にいたんだ
それで今夜どこにいるの 優しい気立てのマリー

俺みたいな男は他にいない たしかなことだ
ま たしかに 君みたいな人もあまりいない 運がいいことに

6頭の白馬は君の予想通り
とうとう州刑務所に送られた
しかし法の網の外で生きるなら正直が肝心
君の答えはいつも賛成だろう
なのに今夜どこにいるの 優しい気立てのマリー

どういういきさつかは知らない
川船の船長は俺の運勢を知っていた
ほかの人のは知らない 君のこともだ
順番が来るのをみんなは待つだけだ

財布が焦げて穴が空きそう
酔っぱらいのペルシャ人に付きまとわれて
君の家に連れて行ってもいいが鍵は閉まってる
鍵を置いていってくれなかったんだ
まったく今夜どこにいるの 優しい気立てのマリー

監獄に入れられ おかげでわかった
悪徳業者に住所を教えてはいけない
今ここに立ち 眺める黄色い線路
もう君のバルコニーは朽ち果てた
さて今夜どこにいるの 優しい気立てのマリー

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4度目なのにまだ

女が言う
無駄口を叩くのは止めて みんな嘘よ
つんぼ野郎め と俺が叫ぶ
俺の目が砕けるほどにらみつけ
他に言いたいことは だそうだ
もういい加減 帰ろうとすると
女が 覚えておきなさい
お礼はしなければならないものよ
手に入れたものの見返りに

その場で鼻歌を歌って俺が
ドラムを叩き なるほどな
女はブーツのボタンを留め
スーツをきちんとすると
生意気言うのね
俺が手をポケットに押し込んで
親指で探り
丁重にお渡しする
ガムの最後の一枚

女に放り出され
往来の土埃に立ち
気がつくと
シャツを残してきた
戻ってドアをノックした
女がとりに行くのを玄関で待ちながら
意味を考えていた
君の絵が車いすの上で
ぶつかって傾いていたわけを

あの女のジャマイカ・ラム
戻った女に少しと頼んだ
女め たいへんなこったわ
俺が はっきり言え
ガムを出しやがれ
女め わめいて真っ赤になって
途端に床に倒れ込み
かばって起こして ふと
引きだしをのぞいてみようと思いついた

用が済んで
靴にたっぷり注ぎ込み
君のところに届けた
やっぱり君だ 俺を入れてくれ
俺を抱いてくれた
時間をむだにしない君だから
俺だってくどくはしない
最後までは欲しがらなかった
俺もそこまではして欲しくない

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信者が5人ちょうど

朝早く
朝早く
君を呼ぶ
君を呼ぶ
帰っておいでよ
君なしで何とかやれるかな
寂しさを感じなければだけど

期待しているのに
期待しているのに
俺に期待してもいいよ
俺に期待してもいいよ
いいったら
君が大丈夫なら俺もだよ ハニー
だから ハニー 頼んだぜ

うちの黒犬が吠える
黒犬が吠える
いましきりに
いましきりに
塀の外で
犬の思いが分かればいいなあ
勉強はたいへんかなあ

君の母上が仕事場へ
君の母上がうめき声
叫んでるけど
苦しがっているけど
行ってあげなよ
母上の思いを伝えてあげるよ
分かればだけど

詐欺師が15人
詐欺師が15人
信者が5人
信者が5人
全員が男の服装
母上に伝えて 心配することはない
あいつら俺の友達だから

朝早く
朝早く
君を呼ぶ
君を呼ぶ
帰っておいでよ
君なしで何とかやれるかな
寂しさを感じなければだけど

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ロウランドの寂しい眼の女

布教者のような思慮深いことば
灰色の目 詩のような祈り
銀の十字架 組鐘のような声
あなたを誰も裏切れない
守り通された荷物袋
草地に夢見た路面電車
絹の肌 ガラスの表情
あなたを誰も背負えない
ロウランドの寂しい眼の女
寂しい眼の預言者曰く 誰もここには来ない
私の安眼鏡 アラビアの太鼓
ここの通りに置いて去ろう
女よ 待てというのか

冷たいシーツ 紐のベルト
ジャックとエースの抜けたトランプ
着込んだ衣類 無表情の顔
あなたを誰も裁けない
月光が浮かぶあなたの眼
思いつきの唄 ジプシーの神の歌
あなたを誰もかき乱せない
ロウランドの寂しい眼の女
寂しい眼の預言者曰く 誰もここには来ない
私の安眼鏡 アラビアの太鼓
ここの通りに置いて去ろう
女よ 待てというのか

フェニキアの王たちが囚人の記録を手に
列をなして紅い唇を求める
あなたが知るはずもないが
心からキスを待つ者はいない
真夜中の毛布に子供の頃の激情を燃やし
スペイン風の作法 母の薬
牧童の無口 鐘の音止め
あなたを誰も止められない
ロウランドの寂しい眼の女
寂しい眼の預言者曰く 誰もここには来ない
私の安眼鏡 アラビアの太鼓
ここの通りに置いて去ろう
女よ 待てというのか

農場主と実業家が揃って決めた
死んだ天使のご開帳
あなたに同意を求めた
彼らの思い違い
代わりに罪を背負うと思ったのか
足元を崩し 警告をでっち上げ
やくざの息子を腕に抱かせ
あなたを誰も納得させられない
ロウランドの寂しい眼の女
寂しい眼の預言者曰く 誰もここには来ない
私の安眼鏡 アラビアの太鼓
ここの通りに置いて去ろう
女よ 待てというのか

缶詰工場通りの板金の記憶
不意に消える雑誌の中の夫
つい見せてしまう優しさ
あなたを誰も命令できない
窃盗犯の身元を引き受ける
指先に聖なるメダル
聖人の顔 幽霊の魂
あなたを誰も壊せない
ロウランドの寂しい眼の女
寂しい眼の預言者曰く 誰もここには来ない
私の安眼鏡 アラビアの太鼓
ここの通りに置いて去ろう
女よ 待てというのか

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